アカウントプランは、「お客様情報」と、「営業シナリオ」・「アクションプラン」に分けられますが、
年に数回の更新で良い部分と、日々の営業活動に合わせて、毎月・毎週等、定期的・継続的に修正・更新していく部分とがあります。
●下記は、一般的な「アカウントプラン」として必要な、資料(フォーム・様式)の説明です。
実際には、アカウントプランを運用する企業によって、フォームの形式や呼び名が異なる場合が多く
ありますが、記載項目として、下記の内容を含んでいることが重要です。
<アカウントプランの記載項目の例(情報システム販売の場合)>
青字は「お客様情報」、赤字は「営業シナリオ・アクションプラン」 にあたります。
1.お客様の概要
→業種・売上・経営課題 等
2.組織図・パワーストラクチャー
→お客様社内の関係者と権力構造
3.システムマップ
→自社及び競合他社を含む お客様のシステム化状況
4.取引履歴と営業状況
→過去・現在と今後の ビジネス案件・金額
5.お客様の課題
→お客様の課題と 課題の分析
6.提案ソリューション
→提案するソリューションの案・仮説
7.ビジネス案件の評価
→ビジネス案件の営業上の優先順位付け
8.競合他社の分析
→提案時に競合する他社の分析・競合他社に勝つための条件の明確化
9.営業シナリオ
→競合他社分析を踏まえた 競合他社に勝つためのストーリー
10. アクションプラン
→中長期9ヵ月間・1ヵ月間・1週間等の アクションプラン
●下記のA社・B社の例は、年度初めや四半期の初めなどに、お客様情報の更新を含めて作成された事例です。
C社の例は、外資系企業の四半期ごとのレビューの場合で、営業シナリオとアクションプランに重点が置かれています。
実際のアカウントプランは、各企業・各個人によって一つ一つの資料の様式が統一されている企業と、そうではない企業があります。
<各社のアカウントプラン記載項目の例>
青字は「お客様情報」、赤字は「営業シナリオ・アクションプラン」 にあたります。
A社
1. お客様の事業環境
2. お客様の経営課題
3. 当社にとってのビジネス機会
4. ビジネス機会に対するアクションプラン
B社
1. お客様概要
2. システム化の状況
3. 組織・人間関係
4. お客様の経営目標・事業計画
5. お客様の課題分析
6. 商談受注ロードマップ
7. アカウントチーム役割表
C社
1. 20XX/1Q Action Overview
2. 20XX/1Q Evaluation & 2Q Strategy
3. 20XX/2Q &FY Business Target
4. 20XX/2Q Opportunity
5. 20XX/2Q Action Plan
6. 20XX/2Q Key Opportunity By Sales
●実際のアカウントプランは、各企業・各個人によって、一つ一つの資料の様式が、統一されている企業とそうではない企業がありますが、
「実戦的に活用できるアカウントプラン」には、形式は違っても下記の内容が含まれています。
1.対象となるお客様の現況や将来計画と、そこでの課題、およびその解決が求められている時期
↓
2.その課題に対して自社が提案できる製品やソリューション、それらのビジネス案件規模(金額)とクローズ時期
↓
3.競合他社が提供する製品やソリューション、それらの強み
↓
4.競合他社に対抗しうる自社の強み
↓
5.自社の強みを活かした、競合他社に打ち勝つための「営業シナリオ」
↓
6.営業シナリオを実行するための、アクション・プランと進捗を測るマイルストーン
↓
7.営業シナリオのアクションを実行する際に、想定できる不安要素・阻害要因と それらへの対策
↓
8.アクション・プランを実行して PDCAサイクルを回すための、日々の具体的活動計画
●下記は、アカウントプランの活用に習熟した、外資系大手ITベンダーで、主に「アカウントプランセッション=月次レビュー」に使われる「実戦的なアカウントプラン」の例です。
この外資系大手ITベンダーは、アカウントプランを徹底的に使いこなしており、関係者が周知の情報は微修正して使いまわして効率化し、アクションプランの進捗・営業シナリオに対する阻害要因・お客様における競合他社との競争状況等に絞って、重点的にレビューやディスカッションを行います。
●営業現場でより高い確率で競合他社に打ち勝ち、より高い付加価値・利益率でビジネス案件を獲得するためには、営業活動を戦略的に進めることが不可欠です。
同時に、限られた 人・時間を効率的に活用し、営業活動の品質を高め、営業活動自体の生産性を向上させることが重要です。
そのためには、お客様の課題・要望を的確に把握し、営業活動を戦略的に進めるための、「個社別戦略=アカウントプラン」が、必須のツールとなります。
アカウントプランは (1)「お客様情報」 (2)「営業シナリオとアクションプラン」から成り立っていますが、
実際には、「お客様情報」の作成までで終わっている企業が高い割合を占めています。
●アカウントプランを活用して、ビジネスの結果を出すためにより重要なのは、お客様情報ではなく、
営業シナリオとアクションプランであり、これは日々の営業活動の「羅針盤」・「可視化のツール」 です。
アカウントプランは、日々の営業活動を通じて「修正・拡充・更新されていくもの=PDCAサイクル実践のツール」です。
また、アカウントプランは、担当者に任せきりで作らせるものではなく、営業マネージャーが担当者に助言・指導して、ブラッシュアップしていくものであり、
通常、初めから完璧なアカウントプランは、有りません。
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