8.競合他社分析
アカウントプランの一部、「競合他社分析」の作成について、解説します。

8.競合他社分析

●次は、絞り込んだビジネス案件に関して、
下記(1)~(3)の手順で営業シナリオ・アクションプランを具体化しますが、
最初に以下の「(1)競合他社分析」を行います。
(1)競合他社分析:絞り込んだ案件について、
競合他社を想定したうえで、①「事実確認」をして、②想定した対策の有効性を「分析」する。

 

(2)営業シナリオ:(1)競合他社分析を基にして、
競合他社に打ち勝って「自社が選ばれるためのストーリー=営業シナリオ」を作成する。

 

(3)アクションプラン:(2)営業シナリオを基に、
営業シナリオを実現するための具体的なアクションについて、「5W1H(固有名詞と数字)」で表現した 「アクションプラン」を作成する。

 

●なお、実際にアカウントプラン(お客様情報+営業シナリオ+アクションプラン)を運用する際には、 営業シナリオとアクションプランが一体化していて、
アクションプランを読めば、おのずと営業シナリオ(ストーリー)が理解できる、という場合が多々あります。

 

●反対に、アクションプランの項目・流れをみても、営業シナリオが理解できない/ 実現できないと思われる場合もあり、この場合は、「営業シナリオ自体に説得力・納得感がない=競合他社に打ち勝つことができない可能性が高い」 ということを意味します。

 

●現実の営業活動では、特にビジネス案件の情報を得た初期段階では、
「競合他社がわからない(想定できない)」「正確な情報が無い」ことが、日常的にあります。
その場合には、「情報不足である=情報収集が必要」と捉えて、競合他社の「情報収集自体を当面のアクション」に設定して、「競合他社の情報収集をするためのアクションプラン」 を作成します。

 

●なお、事実の確認・分析に際しては、個人的な思い込みを避けるため、アカウントプランの中に、
その「根拠・Evidence」(例:○○部長の発言・XXXプロジェクトに関して同趣旨の発言・ITxx誌の
掲載記事 等)、も記載します。
運営者自身が所属した複数の日本の企業を含めて、日本の企業では、こうした「根拠・Evidence」を明確にしない、或いは軽視する傾向があります。
一方、運営者が知る限り、こうした日本企業と外資系企業の最大の違いは、外資系企業にみられる徹底した「曖昧さの排除」の文化です。運営者の知る限り、どちらがビジネスの獲得に関して優れていたかは、後者でした。

 

下記に、競合他社に関する、(1)事実確認 (2)分析  について、解説します。
(1)事実確認:競合他社の製品・ソリューションの情報収集、競合他社とお客様の関係(個人対個人・会社対会社等)の情報を収集して、競合他社の強み・弱みを理解します。
◇競合他社の製品・ソリューション・導入事例等を調べます。
また、可能な場合には、調べた内容や仮説として想定したことの評価をお客様に確認し、お客様の視点からみた競合他社の強み・弱みを確認します。
◇競合他社とお客様の取引関係、競合他社の評価・評判はどうか等を、お客様に確認します。
◇キーパーソンとの個人的関係(同窓・同級、出身地、ビジネス上の貸し借り 等)、会社対会社の関係(互恵関係・協業関係 等)を、お客様社内の関係者・公開情報(インターネット・新聞・雑誌等)から
調べます。
⇒一般的にこれらの情報は、営業パーソンがお客様との信頼関係を作りながら、徐々に集めていきます。
その際に重要なことは、
同じ項目についてできる限り「複数のお客様」から「5W1H(固有名詞と数字)で情報収集」し、それらを「比較する/裏付けを得ること」です。

 

 

(2)分析:競合他社の強み・弱みを、自社の強み・弱みと比較する
◇事実確認を基に、競合他社と自社の強み・弱みを比較し、競合他社に打ち勝つために、「どのような条件が必要か/どのようなアクションが必要か」を分析し、「5W1H(固有名詞と数字)」を使って、明らかにします。
⇒この分析結果が、「営業シナリオ」と「アクションプラン」を作成する基になります。

 

 

●次に、具体的に活用できる 「フレームワーク(考えるための視点)」 について、説明します。
まず初めに、「競合他社との差異化」のスタートラインになる、「事実の確認(Fact-Finding)」について説明します。
下記は、いわゆる5W1Hにお客様の予算として、「HOW MUCH(=予算化の承認はされたのか?いくらか?)」を加えて、5W2Hとしたものです。それは、お客様が予算化しない(できない)ビジネス案件に対して営業活動をすることは、時間とリソースの無駄だからです。

 

こうした「事実の確認(Fact-Finding)」「裏付けの確認」は、「競合他社との差異化」に関係なく、
営業活動の基本中の基本であり、あえて「フレームワーク」と言うべきものではない、とも言えます。
しかし、アカウントプランの実践に取り組み始めた、国内最大規模のITベンダーに対して、
当サイトの運営者が、600件を超えるアカウントプランについて助言・指導を行った際には、こうした「Fact Finding」「裏付けの確認」が不十分なままで、日々の営業活動を行っている事例が数多く含まれていました

 

●「事実の確認(Fact-Finding)」「裏付けの確認」に関しては、
①営業活動の各フェーズで繰り返し確認して、それまでの情報を、修正・更新する。
②公式・非公式を問わず、「様々な場面・手段・演出」を通じて、「複数のお客様」に確認する。     ことが必要です。
その理由は、ビジネス案件に関する事実やお客様の意図を、正しく把握できないままに、営業シナリオや
アクションプランを作っても、競合他社に打ち勝つことは、極めて難しいからです。 

 

 

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